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研修4年目の薬剤師 座談会

研修4年目に入ります!~6年制1期卒の薬剤師が語る、研修のあれこれ~

参加者(あいうえお順)

  • <東葛病院勤務>
  • 飯塚 友梨  篠田 千尋
  • 橋本 康弘  速水 直子
  • <わかば薬局勤務>
  • 橋本 遵  廣瀬 祥子

※司会
(株)外苑企画商事 代表取締役 谷本 昌義
(収録:2015年3月18日 東葛病院7F会議室)

6年制の1期生、集合!

司会の谷本さん司会 臨床の中でもっと力を発揮できる薬剤師を育てようということで、薬学部は6年制になりました。それを受けて当法人も研修制度を新しくし、研修期間を5年とし、病院で3年、薬局で2年の研修を受けます。
今日は6年制の第1期生である皆さん6人にお集まりいただきました。入職して3年がたちましたが、自分たちは今、どのあたりまで到達しているか、研修プランに対してどう思っているか、どんな薬剤師になりたいかなど、大いに語っていただきたいと思います。
まず、うちに入職して良かったかどうか、率直なところをお聞かせください。

篠田さん篠田 わかば薬局で2年研修をやって、今東葛病院で研修中ですが、職場環境がよくて、一度もやめたいと思ったことがありません。

司会 それは嬉しいですね。うちは病院を先にするか薬局を先にするか、自分で選べるようにしていますが、篠田さんは薬局からスタートしたわけですね。

篠田 はい。一番印象に残っているのは訪問服薬指導です。もともと訪問服薬指導をやりたいという希望があってこちらに入職したんですが、実際に患者さんのご自宅を訪問してみて初めてわかったこともあり、勉強になりました。

廣瀬 私は東葛病院で2年研修をやり、今はわかば薬局です。急性期を2年やって雰囲気とか流れとかはわかっていい経験ができたと思うんですが、2年では足りなかったかなという思いもあります。

橋本(遵) ここに入職して良かったと思うのは、病院も薬局も体験できることです。廣瀬さんと同じように、東葛病院にいるときは何が何だかわからなくて、わかば薬局に来てやっと少しわかってきた感じです。調剤を先にやってから病院に行ったほうが自分には向いていたかなとも思います。

速水 そうかもね。私はわかば薬局でスタートさせてもらって良かったです。処方箋枚数が違うし、いろんな薬に触れる機会は薬局のほうが多いので。ここのいいところは、聞けば誰でも親切に丁寧に教えてくれるところで、そこが働きやすいところです。

司会 橋本君はみさと協立病院で2年やり、現在は東葛病院、病院がっつりの研修で、薬局体験はまだですよね。

橋本康弘さん橋本(康) はい、最初から病院に入りたかったので、病院と薬局両方の研修ができると言われて、「えっ、薬局要らねんじゃね?」(笑)と思いました。しかし、病院だとその特定の疾患しかみないし、病棟での科が決まっていると触れる薬も限られるので、やっぱり薬局も経験したほうがいいと、今は思います。

飯塚 わかば薬局でスタートし、東葛病院に来たら、仕事内容が全然違っていました。薬局を先にやったので、薬のことは勉強したんですけど、実際の現場に立つと、なかなかうまく伝えることができなかったりして、まだまだだなというのを実感しています。

ローテーションしてみて

橋本遵さん司会 病院か薬局のどちらかでスタートして2年、それぞれ慣れてきた頃にローテーションになりました。ローテーションについてはどう思いますか。あるいは薬局と病院、どっちのスタートが良かったかとか。

篠田 私はローテーションをさせてもらって良かったと思っています。実際にやってみないとわからないことってあるじゃないですか。

速水 私はわかば薬局スタートで良かったなと思っています。薬のことをわかばで勉強させてもらって、病院に来てそれが少し生かせるようになっています。

橋本(康) できるだけ早く研修を終わらせて全部を経験して、最終的に結論を出すのがいいと考えます。特に女性だと大学を卒業して25ぐらいで、5年たつと30になります。早めに回してどこに行きたいかを決められると、良いと思います。それから、僕はみさとで2年やりましたが、慢性期は2年も要らなかったかなと、もうちょっと急性期をやりたかったです。

司会 これが東葛病院で2年だと少し違うのかもしれませんね。

廣瀬 東葛の2年はほんとにあっという間でした。研修が5年というのはちょっと長いかなと思います。1年1年1年で全部で3年というローテーションもあるのかなと。

橋本(康) だけど東葛が1年だと、足らないんじゃない?

廣瀬 たしかにそうかも。

司会 いろいろな意見が出ました。今後の参考にさせていただこうと思います。

【薬剤師初期研修の取り組み】 外苑企画商事 谷本昌義
薬剤師教育が6年制になり、一期卒業生がこの4月で4年目になりました。6年制への移行は臨床で働く薬剤師を育成することを目的とし、保険薬局2.5か月、病院2.5か月、計5か月の実務実習が行われます。しかし、薬剤師は医師のような卒後教育の制度がなく、臨床で活躍するイメージを十分持てないまま病院か保険薬局かを選択しなくてはなりません。
私たちは病院薬剤師、保険薬局薬剤師が別々の職能としてではなく、連携しながら一貫して患者にかかわらなければならないと考えています。そのためにも卒後研修が重要であり、初期の段階で病院、保険薬局を経験したうえで各々が活躍する場所を選んでもらいたいと思っています。
勤医会・外苑企画グループでは6年制卒が入職するに当たり初期研修期間を保険薬局2年、病院3年の5年間としました。保険薬局1年目は基本的な業務を学び、2年目は在宅訪問指導、小規模薬局研修、慢性疾患管理を行います。病院での1年目は同じく基本的な業務を学び、急性期を1年、療養を1年担当します。
今回の座談会参加者は初期研修1か所目が終了し次のステップに進んだ職員です。まだまだ実力不足ですので、現場の皆さんの指導をよろしくお願いします。

チームを感じた!

廣瀬さん司会 他の人とつながっているな、チームを感じたという経験はありますか。

速水 看護師さんに毎日助けられています。こちらは薬のことしか把握できていないんですけど、看護師さんは薬の情報から何から何まで把握していて、すごいなと思います。

司会 在宅はどうでしたか。

篠田 服薬状況とか、ちゃんとお薬が飲めるかどうかのチェックなども、ヘルパーさんとか訪問看護師さんとか患者さんに関わっている方々の協力なしでは絶対に無理、薬剤師だけではできないことがわかりました。

司会 東葛では?

廣瀬 チーム医療というよりも助けてもらっているほうで。

司会 橋本君はみさと協立病院で、チームでやってきましたよね。

橋本(康) はい、褥瘡の評価なんかは看護師さんが毎日みているので、看護師さんの評価を聞いたり、パーキンソン病の方の評価などはリハビリさんとか先生に聞いたりして、助けていただきました。それから、専門の先生たちにコンサルタントをして助けていただくことが多くありましたね。

司会 みさとだから、それができたんだと思います。橋本君は「2年は長い」と言っていたけど、そういう点では慢性期のみさとでスタートできたことが良かったのかもしれませんね。

橋本(康) そう思います。

速水さん司会 そうやって助けられてきたわけだけど、じゃあ自分たちはどんなことが返せそうですか?

一同 う~ん…。

速水 まだ返せるレベルまで達してないです。

篠田 「これやってください」と言われたことをやれるぐらいしか、今はね。

速水 でも、私の上のKさんレベルになると、看護師さんに薬以外のことも聞いたりして、先生もKさんの情報を頼りにしているので、そこまで行ったら多分一人前? そこまで行けば薬剤師も、チーム医療の一員としてみんなから必要とされるんだろうと思うので。

司会 頑張ってください。

印象に残っている患者さん

飯塚さん司会 印象に残っている患者さんはいますか。

飯塚 最近、一人います。腎機能が悪い患者さんで、血圧が少し高めだったので、医師が降圧剤を追加しました。前日に病棟に行って薬の説明をしたんですが、私が「血圧の薬が」と初めに言ってしまったこともあって、「血圧はそれほど高くないのに、なぜ飲むんだ」と怒っちゃって。翌日の朝から薬が出されたんですが、患者さんは飲んでくれず、ため込む一方でした。その患者さんは研究職の方で、データをきちんと見せないと納得しない様子でしたので、先輩に相談して、ガイドラインを調べて、文献を持っていて、説明したんですね。そうしたらようやく飲んでくれることになりました。(参加者拍手)
納得してもらうというのは難しいんだなと実感しました。

司会 うまくいって良かったですね。逆に、怒られちゃったとかは?

篠田 怒られるのはしょっちゅうです。「病院でさんざん待たされて、薬局でも待たされるのか」って。

飯塚 呼んだ呼ばないというのも、けっこうあるよね。こっちはちゃんと呼んでいるんだけど、呼ばれていないと怒られる。

司会 いろいろ経験して、今後自分たちがもう少し力がついたときには改善ができるようになってもらうといいなと思います。もう一つぐらい、いい話ないですか?

橋本(遵) 入院されていたときに担当した患者さんが、私がわかば薬局に行ったということを誰かから聞いたらしく、私が出勤していない日に手紙を置いていってくださいました。「お元気ですか」って。

一同 えーっ、すごい!

司会 それは嬉しいよね。病院と薬局をローテーションすると、患者さんがつながっているのがよくわかりますよね。

橋本(康) みさと協立病院にいたとき、ぜんそくの治療に来た患者さん(女性?)がいて、仲良くなっていろんなことをお話ししたんです。その話の中で「私、血圧がね…」と血圧のことをすごい気にしていることがわかりました。「ずっと血圧の薬を飲んでいたのよ。でも治療に口をはさむようで、悪くて言い出せなかった」と。それで、「別に今、血圧の状態が悪いわけではないし、悪くなったら薬を足せばいいんですよ」と説明して、「包み隠さず言ってもらっていいですから、一つでも情報が多いほうが治療に役立ちますから」と言ったら、「ありがとうございます」と喜んでくれました。患者さんのところに行くことと、ちゃんと話を聞くことってすごい大事だなと思いました。

司会 怒る患者さんもそうですが、こだわりがあるところって何か背景があるんだと思います。患者さんの話をじっくり聞くということをやってみるといいかもしれませんね。

こんな薬剤師になりたい

司会 研修はあと2年ありますので、どんな研修をしたいか、どんな薬剤師になりたいか、ひとことずつお願いします。

廣瀬 尊敬できる先輩が多く、今は育ててもらっていますので、知識をつけて、人を育てられるような人になりたいです。

橋本(遵) いろいろな経験を積んで、後輩に頼られるようになりたいです。今は何か聞かれてもわからないから、「一緒に先輩に聞きに行こう」としか言えない(笑)。教えられるようになりたいです。

速水 チーム医療の中で、他のスタッフに少しでも頼られるような薬剤師になりたいと思いますし、患者さんに頼られる人になりたい。以前は、自分の知識を与えようと思っちゃったんですけど、患者さんが頼りにして寄ってきてくれるぐらいの薬剤師になれたらいいなと思います。

司会 すばらしい! 薬剤師ってどうしても自分の知識で“指導する”というふうになりがちなんだけど、まず、患者さんの話を聞いて患者さんに寄り添うことをベースにしたいですね。

橋本(康) 女性の職場なので、女性にちゃんと意見を言える人になりたい(笑)。

司会 今は言えないの?

橋本(康) 今は超イエスマンなので(爆笑)。あとは、糖尿病療養指導士に興味があるので、その資格も取得したいです。それから、速水さんも言っていたように、患者さんが話しかけやすい薬剤師になりたい。病棟の仕事をやっているといっぱいいっぱいになって、怒りそうなことが多く、“器が小っちぇえなぁ”と思うので、器が大きい人間になって、笑顔を忘れずに、女性に負けずに(笑)、やっていきたい。

司会 頑張れよ、ハードル高いぞ!(笑)

飯塚 専門もありますが、オールマイティに知っておきたい、そのために勉強したいなと。あとは、患者さんから信頼されたり相談されたり、看護師さんから相談される薬剤師になりたい。先生にも意見が言える薬剤師になりたいです。

篠田 患者さんのための薬剤師になりたい。今は与えられた仕事をこなすのが精いっぱいで、患者さんのためというところに結びついていないんじゃないかと日々悩みながら仕事をしています。今担当している病棟はリハビリとか家に帰るための在宅調整をする病棟で、薬剤師は何をしたらいいんだろうと悩むこともあります。でも、患者さんのためになることは探せばあるにちがいないと思うので、そういうことを見つけて、看護師さん、医師、ソーシャルワーカーさんとチーム連携をして、患者さんが安心して退院できるような役割を果たせる薬剤師になりたいなと思います。

司会 今日こうして皆さんからお話をうかがい、私自身もためになりました。これからもいろいろな意見をあげていただきたいと思います。それから、後輩たちが入ってきていますので、よきお兄さん、お姉さんでいてほしいことと、グループとしてこうしたほうがいいよとアドバイスし、一緒に考えていってほしいと思います。今日はありがとうございました。

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